猫が星見た

映画の感想

悪い男(BAD GUY)

キム・ギドクの映画を自ら進んで見るっていうのは結構マゾな行為かもしれないな。今の所100%痛い。
ギドク作品と北野作品が似ていると何処かで聞いたけれども、「サマリア」「受取人不明」を見てもさっぱりそんなことは感じなかったが、この作品見てようやく納得。確かにブルー。主人公無口───なんだが、喋ったら甲高いようなしわがれたようなおじいちゃん声だったので、いいセリフ叫んでるんだけどこっちはポカーンとなった。こわもてのイメージぶちこわしな声なのでそういう理由で喋らせなかったんではと疑ってしまった。あの声わざと?

“暴力でしか愛せない”、というのはありきたりのエッセンスでそんなチープなことで満足させてくれる映画は少ないけれど、この作品は違った。
淡々と描いているのに不思議とハンギ兄貴のキャラクターが自分の中でがっちり形成されていって、ラストを見て自然と“永遠にこういう風にしか愛せない奴なんだな、ハンギ兄貴は”に行き着くのだった。異議なし。
そういや、ギドク作品の登場人物ってあんまり語らないし、自分との距離感も感じるんだけど、すごい活きてるんだよなー。全然自分と境遇が違うのに、“こいつの考えてることなんとなく分かる”のである。

あとこれも北野映画との共通点として挙げられるかもしれないが、音楽がすごーくよかった。(Ftta ScolloのI Tuoi FioriとCarolaのBlott En Dag)でもサントラなし!
『誠心誠意、君を傷つけ、そして愛す』というのは映画同様気合の入ったナイスコピーだと思う。
ムービープラスで・2007年6月14日)

悪い男 [DVD]

悪い男 [DVD]