猫が星見た

映画の感想

力道山(RIKIDOZAN)

ソル・ギョングうまいなー!七変化の役者だなあ。確かに日本語はややたどたどしいが、口だけじゃなくてちゃんと演技しているのが分かるので私は全く気にならずにドラマに入り込めた。体つきもどうトレーニングしたんだっていうくらい凄い。もう別人っていうか確かにプロレスラーですよ。プロレスのシーンも迫力満点でリアルだ。これって韓国映画なの?日本映画なの?っていう国籍が微妙な立ち位置の映画(監督は韓国人・ほぼ全編日本語)にありがちな違和感とか地に足がついてない感じが全くないので、史実を大幅に変えているようだが私は立派な作品ではないかなと思う。ソル・ギョング以外も藤竜也中谷美紀萩原聖人の演技も非常によくバランスよく、映画としてもどっしりとした手堅い作りで、役者も制作陣も真剣にやってるのが伝わってくる。日本とアジアの合作映画で初めてちゃんとした映画を観たかもしれない。
褒めたわりに点数が辛いのは熱演に隠れた曖昧な部分、考えると正直力道山がどういう人物だったのかよくわからんかったので。最初の方はいいのだが、中盤から最後にかけて、薬に頼って荒れたかと思うとすぐ優しい感じになってたり、ラストの病室で韓国語で「笑って生きたい」と話し出すのも唐突でその心境の変化がよく分からなかった。オチで“あ、これ夫婦の話だったの”と気付いた。焦点の甘さがあったと思う。役者の素晴らしさを考えるとここまでマイナーな作品になって見向きもされてないのは悲しいレベルだが。
WOWOWで・2007年7月13日)