猫が星見た

映画の感想

南京の基督

芥川龍之介が1920(大正9)年に発表した『南京の基督』に、彼が自殺を遂げる直前の心象風景を綴った作品『歯車』『或阿呆の一生』を融合させて映画化した作品。1920年代の中国・南京。ひとりの日本人作家とまだ幼さの残る娼婦が出会う。その少女・金花は、一点の曇りもない純真さで神を信じていた。一方の作家・岡川は創作に行き詰まり、神を求めつつもその存在を疑問視していた。やがて少女の一途さ、純真さに惹かれていった岡川は、金花との愛の日々の中ですさんだ心を癒し、忘れかけていた創作意欲も次第に高まっていった。しかし彼女は、当時不治の病と言われた梅毒に感染してしまう。他人にうつしてしまえば治るとも信じられていた病気だったが、敬虔なクリスチャンである金花は客を拒み続ける。それは彼女の死を意味していた……。

7,8年前に見ようとして富田靖子のあまりのぶりっこ演技に無理……となっていた作品だが、今観るとそれほど耐え難い演技でもなかった。体当たりという意味では非常に頑張っている。頑張りすぎててちょっとおかしいが。(最初の純粋無垢な演技と最後の狂気の演技がほぼ一緒)
ラース・フォン・トリアーの「奇跡の海」が大っ嫌いな私はこの映画もイヤー!だが、映画としては「奇跡の海」ほどあざとさがない地味な頑張りが見えるのでまだ好感が持てた。
しかし不思議なのは日本人の役をレオン・カーファイがやって中国人の役を富田靖子がやったということ。全くその意義を感じないんだが……。
パンかなんかに死人の血をつけて食べるシーンはなかなか怖いものがあった。
ムービープラスで・2008年3月30日)

南京の基督 [DVD]

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