猫が星見た

映画の感想

乱れ雲

成瀬巳喜男監督の遺作。
泣かせ巳喜男監督の作品の特徴といえばメロドラマであるが、私はメロドラマよりも市井の人々を描いた「めし」とか「稲妻」のファンなので、この作品は……である。よせたり引いたりの美しさは分かるが、どうしても“こいつらうっとおしいやっちゃな!”となってしまう。
司葉子の人物像はなんとなく分かるのだが、加山雄三の性格がよく分からなかったのはなんでだろう。ストーリー的にはいい人設定なんだろうけど、あの棒読みはなんとなく悪い人のように思える。私の感覚がおかしいのかもしれないが、途中まで加山はなにかたくらんでいるに違いない、と思っていた。昔から加山雄三を見るたびに満面の笑顔がうそ臭くて嫌いだったので、そのせいかもしれない。
あと司葉子があの言い争いを経て何故加山に対して柔和な態度をとるようになったのかがさっぱり分からない。喫茶店でいきなり2人が笑顔になっているのが唐突に思えた。
ラストの加山の歌はよかった。
日本映画専門チャンネルで・2008年4月19日)

乱れ雲 [DVD]

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