猫が星見た

映画の感想

バッテリー

中学校入学を目前に控え、家族で岡山県へと引っ越してきた天才ピッチャー、原田巧。彼は、自分の才能に絶対的な自信を持ち、それゆえに他者を寄せ付けない孤独な一面を持っていた。家族も病弱な弟を大切にするあまり、巧との間に微妙な距離を置いてしまう。そんな巧の前に、同級生の永倉豪が現れる。巧の才能に惚れ込んだ豪は、彼とバッテリーを組むことを熱望する。2人は野球部に入部するが、そこに待ち受けていたのは監督による部員への徹底した管理・支配だった。それでも監督との衝突もいとわず自分を貫く巧は、次第に豪との絆を深めていくが…。

基本は原作を忠実になぞっているので、別に映画観なくてもよかったかもという出来映え。
滝田洋二郎監督は映像作家ではないので、特にハッと見惚れるシーンとかもない。「陰陽師」くらい笑かしてくれると観た甲斐あるぜという感じになるんですが、青春映画だけに直球でした。別につまらなくないんだけど、面白くもない。これを時間の無駄という。


しかし原作読んでも思ってたけど、なぜ大人も子供もあんなワガママ王子の機嫌をとらなきゃなんないんだ。
有り余る才能ゆえに孤独になった、とかいう説明がありますが、それだけであそこまで頑なに大人やルールを拒否する理由が分からない。野球を全国レベルで真剣にやってたらルールを守らなきゃなんない、理不尽なこともあるってこと普通に身につくだろうと思うんだが。団体競技だし。原作者のあさのあつこってスポーツやったことないんじゃないかなーと思いました。あんな性格だと才能が開花する前に絶対干されると思う。まあ全てフィクションですから、しかもコバルトみたいな内容なんだから仕様がないですが。あの性格にリアルがないから、どうしても入り込めない。
ラストにかけては映画的演出がなされてますが、岸谷ごろうがぺちゃくちゃ喋るのがいただけない。“長くは生きられない弟”だの“弟の為に野球をやっている”だの、映像やそれまでの流れで観客が自然と感じるべきところを全て喋って説明してくれます。全く説得力なし。
でも私の信頼するCinemaScape/Indexさんでは評価高いんだよなあ……
(2008年4月29日・WOWOWで)