猫が星見た

映画の感想

エトワール(TOUT PRES DES ETOILES)

300年以上の歴史を誇るパリ・オペラ座。そのバレエ団は、“星”を意味するエトワールと称される最高位のダンサーを頂点にし、プルミエ・ダンスール、スジェ、コリフェ、カドリーユと続く完璧な階級社会。そもそも、一握りの選ばれし者のみが団員になれる世界。その中で、残酷な生存競争に勝ち残るために、日々超人的な努力が要求されるダンサーたち。エトワールに任命されてもなお、深まりゆく芸術への理解力と相矛盾するように、衰え行く肉体に悩み続ける。一方、カドリーユたちは血マメをつぶし、抗生物質を飲んでステージへと上がる……。

プロの厳しさをひしひしと感じる、とまではいかない映画。実際はもちろんものすごく厳しい世界だろうけど、この作品ではそこまで深く入り込んでいない。生のバレエダンサーの素顔を垣間見れるという点ではドキュメンタリーの意義はあるんだろうけど、表面をなぞっただけのような気がしたなあ。物足りない。

最近シルヴィ・ギエムのDVDを鑑賞したのだが、ギエムの圧倒的な力強さとカリスマを感じた後でこの作品の人々を見ると誰も弱く感じてしまった。まあ好みの問題だけど。
(2008年6月14日)

エトワール デラックス版 [DVD]

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