猫が星見た

映画の感想

ベンジャミン・バトン 数奇な人生(THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON)

1918年、ニューオーリンズ。ある一組のカップルの間に男の子が産まれる。しかし、その赤ん坊は80歳の老人と見まがうほど奇異な容貌をしていた。ショックを受けた男は困り果てた末、赤ん坊を老人養護施設に置き去りにしてしまう。そして、施設を営む黒人女性クイニーに拾われた赤ん坊はベンジャミンと名付けられ、献身的に育てられるのだった。成長するにつれ髪が増え、皺が減り、車椅子から立って歩けるようになるなど、普通の人間とは逆に若返っていくベンジャミン。やがて少年期を迎えた彼はある日、施設入居者の孫娘で6歳の少女デイジーと出会う。それは、これから様々な経験を積み壮大な人生を歩んでいくベンジャミンにとって、今後かけがえのない存在となる女性との運命の出逢いだった…。

今年最初の大ハズレ映画。
最大のハズレ映画になるやも。


ネタバレご注意。





私はとにかく長い映画が嫌いなんだが(大体が無駄だから)、これはその超たるもの。無駄すぎ。でもブラピがかっこよくなって出てくるまで我慢だって自分に言い聞かせてた。だってオジイサンプラピだけ観たってこの映画なんもいいことないから。

時の流れは悲しいものだ、年を取るのは悲しいことだけど等しく美しいことだ、時の上に色々な人々が現れ去っていく、なんつーことをこの映画はいいたかったのは分かるが、そしてそういうのが私は好きなんだが、残念ながら期待していた感動の波はちっとも感じられなかった。
なにもかも薄っぺらい。
オジイサンの風貌で生まれてしまったブラピが全くもって聞き分けのよいいい子、そして風貌と同様に老成した精神を最初から持ってしまっている。もしくは無垢すぎる精神をもってしまっている、これが無感動の原因であると私はみた。
なんの葛藤も悲しみも、ブラピから感じられない。若返るという特異体質(?)を最初から「人それぞれさ」とブラピもその周りの人も認めてる。……ありえないでしょ!!だって正直言って化け物じゃん。見世物じゃん。絶対気味悪がられるし、誰も近寄ってこないし、話しかけないでしょ。そこんとこ、あまりにスムーズに「個性じゃん」的に認められててブラピが生きていくのになんの障害も感じられなかったので、その後の人生も全然波乱万丈に感じられなかった。

そんで常にピュアなブラピにも腹が立つ。不倫してもピュアなのか。「リバー・ランズ・スルー・イット」と「ジョー・ブラックによろしく」の頃から全く変わっていないビミョーな演技。カマトトぶっている、というのでしょうか、アホ、というのでしょうか。何故あんなに頭悪そうなんでしょうか。アホの役じゃないのに。
この間「テルマ&ルイーズ」で若かりし頃のブラピを観たのですが、これはアホを演じていてピッタリだったです。
若くなるにつれて、さすがに男前、それだけで画はもつのですが、なぜあんなすぐに父親の役を放棄したのでしょうか。ベンジャミンは父親に捨てられた過去をもっているのに……あんなあっさり育児を放棄するとは思いませんでした。ケイト・ブランシェットのハァ!?という顔、大納得です。


時を逆行するというドラマティックな設定が全然意味ないのがガッカリです。
自分一人若返って老いていく人を見送る悲しさ、ひとりぼっち……というのがミソだと思うんですが、そんなことブラピから全く感じられません。インドとか行きやがって、どこのモラトリアム青年だよ!!
最後も結局ケイトに迷惑かけるだけで、常におんぶにだっこなベンジャミンの人生、こんなもん、どういう風に感動すればよいのでしょうか。
ケイトはさすがの演技、ブラピは七変化で持ち前の美貌を披露するだけが役目だったのかもしれませんが、演技ひどすぎ。この映画が駄作なのはひとえにブラピのせいでしょう。
(2009年3月10日)