猫が星見た

映画の感想

愛と哀しみのボレロ(LES UNS ET LES AUTRES

BOLERO)

C・ルルーシュお得意の少々絵空事めいた人生模様が世界規模で錯綜する、パノラマのような愛の寓話で、いくらなんでも話を拡げすぎの感はあるが、ルルーシュの、観る者をフィクションの波にさらう語り口は健在で、核となるG・ドンの素晴らしい踊り(ラベル作曲の“ボレロ”に合わせて力強く舞う)に引きずられるように、フランス-アメリカ-ロシアと場所を変え、第二次大戦前から戦中そして現在に至る複数の家族史の関わりと、個々の愛情と悲劇の系譜をカラフルかつリズミカルに綴ってゆく。

もっと“不朽の名作”的だと思っていたが、期待とは違った。
なんか薄〜い映画である。登場人物が多すぎて話が分かりにくい。というかそんな重大な内容があるのだろうかねえ、これ。
加えて私はフランス人独特の政治批判的・哲学的芸術が苦手である。即ち、ベジャールもあまり好きじゃない。
素晴らしい踊り手といわれる(しかもこの映画の目玉)ジョルジュ・ドンも生理的に受け付けない。
ということで、全く観るべきものがない!
こんだけ期待はずれな映画もめずらしい。
(2009年4月22日)