猫が星見た

映画の感想

ヒトラーの贋札(DIE FALSCHER)

第二次世界大戦の最中、ナチスはイギリスの経済を混乱に陥れるため精巧な贋ポンド札の製造を計画する。この“ベルンハルト作戦”のため、ザクセンハウゼン強制収容所には、世界的贋作師サリー、印刷技師ブルガー、美校生のコーリャなどユダヤ系の技術者たちが集められた。収容所内に設けられた秘密の工場で、ユダヤ人でありながら破格の待遇を受け、完璧な贋ポンド札作りに従事することになったサリーたち。しかし彼らは、自らの延命と引き替えに同胞を苦しめるナチスに荷担するジレンマに次第に葛藤と苦悩を深めていく。

なかなか面白いです。基本的に手に職のある人がうらやましいので、こういう話も好きです。
この映画で主役のサリーには個性がない。優しいしリーダーシップもあるけど優柔不断というか性格は別に魅力的でもない。面白いのはサリーはユダヤ人なんだけど、自分はそのことに全く誇りを持っていない、というかユダヤ人であることが嫌な所。だからブルガーみたいに反骨精神とか強い思想とかはなくてただ命を守りたいだけ。加えて贋札をつくるということが好きなだけ。こういう一匹狼が大好きです。
観る人が観たら戦争ものなのに全く地味な展開だらけなので、退屈に思えそうですが、私は暑苦しいのより全然好きでした。
戦争が終わってサリーは何もかも嫌になってしまうのですが、そこであのラストシーン。美しい。
全体に押し付けがましいところが全くなくて、結論とかはっきりないところが私はとても好きです。
(2009年6月)

ヒトラーの贋札 [DVD]

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