猫が星見た

映画の感想

第12回世界バレエフェスティバル


東京まで出張って世界バレエフェスティバルを観に行ってきました。
去年くらいからハマリだして、技の名前とかダンサーの名前とかそれほど詳しくないまま、4時間興奮してきました。知識がなくても鳥肌がたつ、それがまぎれもなく一流なんだと確信しました。


先週Aプロも観たんですが、それはイマイチだったのでBプロのお話。10日と11日。

映像では観てたけど生で観て想像以上にすごく所作が綺麗で丁寧さが印象的だったのはホセ・カレーニョとマニュエル・ルグリ。
カレーニョは演目が地味で(「海賊」の寝室のパ・ド・ドゥ)男性としてあまり見せ場がないにもかかわらず、私の目にはすごく真摯なダンサーに映った。サポート、手の動き、顔の表情、すべてにおいて最初から最後まで気を抜かない、でもリラックスしていて見ている方もダンス!という気負いを感じない。スっと馴染む感じ。男らしくて力強いけどなんかソフト。観ていて疲れなかったです。バレエはスポーツ要素もあるけど演劇でもある。そのバランスを感じさせてくれるダンサーでした。カンですけど、カレーニョは絶対性格いいですよ。好きなダンサーになりました。
ルグリは、演目は正直よく分からなかったですけど、美しい動きでした。カレーニョよりセクシーな感じ。引退するということですごい拍手を貰ってました。

カレーニョ。Aプロでやった「ディアナとアクティオン」これは男性の見せ場がある。すごい。



驚くべきはマリア・コチェトコワとダニール・シムキンの「パリの炎」ですね。特に10日の方は素晴らしかった。
ジャンプ(とバレエでは言わないんだろうけど)の高い男性ダンサーは若ければ結構いるし、とんでもないのも見たことがありますが、本質はそうじゃないと思わせるシムキンの美しい技。高くてキレがいいんだけど、下品じゃない。力みが全くない。激しくうごいても体の線がすごく綺麗なのに心底驚きました。思わず声がでる回転技、そして540!540という技は私すごく好きです。
「パリの炎」というものを初めて見ましたが音楽も好きだし、振り付けも好きで、これは絶賛の演目です。

この映像のより今回の方が断然いい(パートナーも違う)。10日なんか540を連続でやっていたのであった。




シルヴィ・ギエムとニコラ・ル・リッシュの「アパルトマン」。
初めてみましたがコンテンポラリーが苦手でもとても面白いし好きだと感じました。
2人の雰囲気がバレエダンサーっぽくないのもありますが、ダンスというよりは非常に演劇っぽい。
音楽も好きで振りもユニーク、それにこの2人のスケールって観ていてすごい気持ちがいい。背が高くて手足が長くて、雰囲気がすごく似てる。ギエムは「ボレロ」を観た時にそのソウルフルさは知っていたので予想がつきましたが、ニコラ・ル・リッシュはびっくりするほどかっこえーという踊り方ですね。すごくクール。大きい動きが本当に映える。手を伸ばしたりする時、こんなにかっこいい肉体の動きがあるんか、うらやましーと思いました。
最後にすごく笑顔で楽しそうだったんで、日本に来てくれてありがとうという気持ちになりましたね。

昔のギエム。関係ないけどこの演目が私は好きだ。

ギエムとニコラ。アパルトマンの映像が探せない。




タマラ・ロホとフェデリコ・ボネッリの「エスメラルダ」。この演目自体が私は大好き。
テレビでロホを観た時、顔とスタイルが恵まれていないので(失礼)あんまり魅力的に思われなかったのだが、ロホすごい。Aプロの「エラ・エス・アグア」も凄かったし(Aプロで唯一おもしろかった)、「エスメラルダ」も特上凄い。何回まわんねん!いつまでバランスやねん!というのばかり。10日も11日も両方同じように凄かったので、もうね、超人認定します。軸がどうやってもずれません。ボネッリはロホに比べたら地味だったのですがすごく楽しそうだったので好感が持てました。
シムキン組と同様割れんばかりの拍手。そりゃそうだよな。

これはボネッリではない(と思う)


アイシュヴァルトとバランキエヴィッチの「オネーギン」。これはマリア・アイシュヴァルトがとにかく光ってる。この演目も大好き。振りが演劇的で綺麗だし、リフトが次から次へ繰り出されて(といっても曲芸みたいのじゃなくて色気のある大人な)見入ってしまう。最後にかけての感情の盛り上がりが踊りに直に反映されていた。物語性といったらこれが一番であろう。去年別のコンビの「オネーギン」を観たけど、そのときは男性の方がいいと思ったのに、今回は断然女性。それぐらいアイシュヴァルトの表現力はすさまじかったし技術も凄かったし顔も美しかった。泣きそうになった。



トリはスヴェトラーナ・ザハロワとアンドレイ・ウヴァーロフ。
この2人はなんというか、信じられないプロポーションで美男美女過ぎて驚く。日本人は誰でも絶対にこういう西洋
人が好きですよ。ロシア人はんぱない、と思いました。
どちらもあまり調子がよさそうには思えませんでしたけど、華という点ではピカ一。ウヴァーロフのバジルはかっこよすぎてずっと観てました。床屋には思えん。リフトの高さに脱帽。なんであんなことできる?




他、「アレクサンダー大王」とかルシンダ・ダンの「白鳥の湖」とかコジョカルの「マノン」とかヴィシニョーワの「ル・パルク」とか素晴らしかったけど素晴らしいとしかいえないので終わり。
バレエをみると普段忘れている人間の本質的な力というものを感じる。嫌なことばかりの世界にくそったれといいたくなる。こんな素晴らしいもんがあるんだと僭越ながらご紹介したかったので一応書いときました。




谷中を散歩してきた。猫発見。