猫が星見た

映画の感想

母なる証明(MOTHER)

殺人事件の容疑者となった息子を救うため、
真犯人を追う母親の姿を極限まで描く、
ヒューマン・ミステリー

永遠に失われることのない母と子の絆。
すべての“謎”の先に“人間の真実”が明かされる。

ネタバレ注意








限りなく5つ星に近い星4つ半。
韓国映画の本気は凄い。怨念に似たものを感じる。
(いつも比べてしまうのだが)なにかとおちゃらけてオシャレぶる邦画とは真反対の精神を持っている。
本気の韓国映画において、貧乏は本当に貧乏だし、血は本当に血だし、セックスは本当にセックスだし、狂気は本当に狂気なのである。だから本気の韓国映画は観ていて痛い。私達が本能的に恐れている精神的恐怖を味わえる。

えらそうに言えば、話の内容自体は結構安易だと思う。
殺人の追憶」なんかでもそう思ったんだけど、オーソドックスなサスペンスの題材から、優れた技術と洞察力で人生における何か些細で重大なことを取り出して見せて、最終的に私達の心を抉り取る。
ポン・ジュノは闇を描くのがうますぎる。不安を煽るのがうますぎる。
雨の描き方もいつもいつも凄い。墨が降ってるみたいなのだよね。黒い、こちらまで墨を飲んだみたいに、ベタベタまとわりつくような、嫌な雨。
キム・ヘジャのややうっとおしい気味のおかんぷりも計算しつくされている。最後のダンスには寒気がした。恐ろしくて。人の情が恐ろしくて。
恐ろしすぎたから星4つ半。
(2009年11月)