猫が星見た

映画の感想

流れる

幸田文の同名小説を「めし」「浮雲」の成瀬巳喜男監督が映画化。傾きかけた芸者置屋を舞台に、時代の流れの中で変わりゆく花柳界に生きる女性たちの姿を豪華な女優陣の競演で描いた作品。女性のありのままの姿を一貫して描いてきた成瀬映画のいわば集大成にして成瀬演出のひとつの到達点を示した日本映画を代表する傑作。
大川にほど近い花街にある芸者置屋、つたの家。ここに職業安定所の紹介でやってきた女中・梨花は女将つた奴に面会、呼びにくいからといきなり名を“お春”に変えられてしまったものの無事採用が決まり、さっそく住み込みで働くことになるのだった……。


最高です。
小津監督と成瀬監督ならどっちかというと小津派だったのですが、これを見て成瀬派に宗旨替え。
廃れ行く置屋という習慣と、時代から取り残されていく人たちの静かな最後。
私にとって映画というのは起承転結で成り立っているものじゃない、と再認識させられた作品。
人生の時間の流れを感じさせる素晴らしい映画に出会えると心底嬉しい。
成瀬監督は女性を描かせたら最高。こういった女性はもう日本にはいないのかもしれませんけどね、強くて弱い、登場人物皆魅力的に描かれています。
成瀬監督の最高傑作として推したい。

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