猫が星見た

映画の感想

ヘルプ 心がつなぐストーリー

アメリカ南部、ミシシッピ州ジャクソン。上流階級に生まれ、黒人メイドに育てられた白人女性スキーター。作家志望の彼女は大学卒業後、地元の新聞社で家事に関するコラムの代筆を担当することに。しかし家事に疎い彼女は、友人宅のベテラン黒人メイド、エイビリーンに相談する。話を聞くうち、彼女たちが置かれた立場に違和感を覚え始める。そして、黒人メイドたちの証言を集めて本にしようと思い立つ。ところがエイビリーンは、黒人が真実を口にするようなことがあれば、この町では生きていけなくなると、取材を頑なに拒否するのだが…。

秀作。地味だが映画好きは観るべき。
実際には差別はもっとえぐいものだったと思うが、この作品は女性を主役にすることで、えぐさをオブラートに包みややユーモアを含んだ視点から、黒人差別を描いている。
こういった題材の映画は重苦しいのが常だが、この作品のように軽めに観易く描くのも、演出がここまで秀悦で丁寧なら大変いい作品になる。
146分なのに楽に観れる、それだけで私にとっては最高の作品なのだが、この映画の最も感心すべきところは、ラストの突き放し方だ。
結局人間の心は簡単には変えられないのだが、逆にいうと自分の心次第で人生はいかようにも美しく生きられるということを強く感じた。