猫が星見た

映画の感想

ドラッグ・ウォー 毒戦(毒戦)

中国、津海。爆発事故があった覚醒剤の密造工場から車で逃走した香港出身の男テンミンは、衝突事故を起こして病院に運び込まれる。中国公安警察のジャン警部は、テンミンに大陸では覚醒剤密造が死刑に相当する重罪と伝え、命が惜しければ捜査に協力するよう迫る。そしてテンミンの情報を元に、商談相手に成りすます危険な潜入捜査を敢行、黒社会の大物へと迫っていくジャン警部だったが…。

面白い!


以下、ネタばれあります。




ラストにかけて人がばんばん死んでいって大味になる展開は私は正直好きではないけど、そこまでのスン・ホンレイとルイス・クーのやりとりに痺れる。
人間としての迫力をスクリーンを通じて感じる俳優2人。今こういう泥臭くてスマートな俳優は少ないんじゃないかな。男前なルイス・クーの方が泥臭くて、おっさんのスン・ホンレイの方がスマートな印象なのも意外で面白かった。
ジョニー・トー監督お得意の息もつかせぬ人間交錯、展開、狭い空間でのアクションはいつのように当然興奮するんだけど、それに加えてスン・ホンレイの鮮やかな七変化には驚くばかりで、こんなすごい俳優を今回知る事ができて嬉しい。私はソン・ガンホとかこの人みたいなタイプの俳優が本当に好きだ。
ルイス・クーは最近香港映画といえばこの人ばかり見かけるが、顔だけではなくかなり繊細に演じる俳優だと思う。ただ頭がすごく切れる悪っていうのが定番なのが残念だけど。この人が出てくると絶対悪者だって思うもんなあ。
私が映画を選ぶ時に真っ先にジョニー・トーを選ぶのは安全牌でハズレがない、っていう以上のものがあるから。本当にわくわくする。寡作ではないのに10年以上面白い映画を提供しているありえない監督。
物語については、香港の七人衆の存在感のなさが微妙だったが、目をつぶる。俳優の演技と監督の演出以外では、天津(津海)って怖いところなんやな、中国人の警察ってあんなにガッツがあって優秀なのかしら、と思った休み前の夜でした。