猫が星見た

映画の感想

タクシー運転手〜約束は海を越えて〜

1980年、韓国のソウル。妻に先立たれ、幼い娘を抱えて経済的に余裕のない毎日を送る陽気なタクシー運転手のキム・マンソプ。その頃、光州では学生を中心に激しい民主化デモが発生していたが、戒厳令下で厳しい言論規制の中にいるマンソプには詳しい事情など知る由もなかった。そんな中、ドイツ・メディアの東京特派員ピーターが光州での極秘取材を敢行すべく韓国入りする。英語もろくに分からないマンソプだったが、“通行禁止時間までに光州に行ったら大金を支払う”というピーターの言葉に二つ返事で引き受ける。こうして現地の深刻さに気づかぬまま、ピーターを乗せて意気揚々と光州へ向かうマンソプだったが…。

 

とにかく見応えあり。ロングランしたのも頷けます。

人を激しく殴打するところやガランとした街並み、集団心理のデモなど、空恐ろしい感じがあるので、なんとなく嫌だな〜嫌だな〜と思いながら、でも140分弱食い入るように見てしまいました。

たかが40年前にはあんな感じだったのだと思うとぞっとします。多少の不満はあれ、なんて幸せな時代と国に生きていることかと、泣いている私の横で寝ている猫を見ながら思いました。

シリアスにはソン・ガンホ、なのは、やっぱりどこかしらユーモラスな色を出せるからだと思います。シリアスで重すぎると観客は本当に辛いものですが、彼が演じるとどこかホッとする部分もあって、エンターテイメントとして面白くなります。他の役者さんだとシリアスすぎて画面がもたないと思います。

最後のカーチェイスの部分は、かなりフィクションですよね?と個人的には思います。あそこは、盛り上げのために作りすぎた感じがあって好きじゃないです。

あと一点難癖をつけるとしたら、韓国人にとっては説明なしに分かる事件なのかもしれませんが、外国人にとっては、光州事件が一体どういう経緯で始まったのか分かりません。そういう民主化運動なんだな?くらいにしか感じ取れなく、とにかく軍部の非人道的行為にのみに焦点が当てられている演出になっているのは残念だと思いました。

ま、それを差し引いても必見だと思いますけど。

 

 

タクシー運転手 ~約束は海を越えて~(字幕版)

タクシー運転手 ~約束は海を越えて~(字幕版)

  • 発売日: 2018/11/02
  • メディア: Prime Video