猫が星見た

映画の感想

ディミトリス・パパイオアヌー「トランスヴァース・オリエンテーション」

彩の国さいたま芸術劇場

 

ギリシャ舞台芸術アーティスト、パパイオアヌーの新作。

さいたま芸術劇場に一度行ってみたくて、何の知識もなく、ビジュアルやイメージから勘で買ったこの一枚。問答無用に素晴らしかったです。買った自分を褒めてあげたい。

私も四十路になってしまい、相当なことがないと驚いたり感動したりすることもなくなり、何観ても記憶に残らない中年となりました、が、今回は久々にわくわくした、変態的びっくり箱でした。さまざまな印象的で衝撃的なシーンが脳裏に焼き付いて、残っています。次から次へと面白いシーンが繰り出される、そして美しいシーンが繰り出される、と思えば奇妙なシーンが繰り出される、異次元の舞台だったのです。

悔やむべきは座席位置のセレクトですね。普通のコンテンポラリーダンスだと思っており、ダンスはできるだけ前で観る派なので3列目をセレクトしたのですが、この作品は舞台転換、舞台美術を楽しめるものなので、全体が観られる後方の方が絶対よかったです。近くで見ると細やかな動き、ダンサーの息遣いや表情などがわかるので、それもいいんですけど、「舞踏」というより「物語」を感じたので、そういう席で観たかったですね。