当時高評価だったのはただの暴力のインパクトだけだったのか。お化け屋敷と変わらんではないか。こういう映画に一番必要な人間の心情というのがこの作品では全く描かれていないので驚いた。あーこの気持ち分かるぜ、というのが田畑智子演じる姉ちゃんだけだった。とにかく誰の哀しみも怒りも感じなかった。話題になったビートたけしの熱演だけど、起因する何かがない暴力っていうのは「こんな怖い人もまあいるよな」くらいの感想しか持てない。その人間の向こうが見えないので、現実であれば当然なのかもしれないが、映画としてはつまらない。これはたけしの力不足では全くなくて、うーん、監督と脚本家のせいなのかな?でもまあ監督も脚本家も頑張ってはいるような気はするんだ。恐らく問題なのはこれが実話だっていうことなのかなと思う。原作は未読だが、あんまり脚色しない方向で作ったので、映画っぽくないような、登場人物に対して硬い感じになったのかな。考えてみると登場人物たちは監督に愛されてない感じだ。愛されてないので活きてないのだよね。美術はなかなかなのではないかと思った。
(WOWOWで・2007年4月8日)
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