目玉のおやじがまだ肉体を持っていた頃の、ある人間とのお話。
普通に泣きました。
ゲゲゲの鬼太郎って子供の頃は好きじゃなかったです、なんか怖くて。鬼太郎はクール&ダークヒーローなので子供にはわかりにくいんですよね。ねずみ男の憎めなさっていうのも子供のころはとんとわかりませんでしたし。で、じゃあ大人になってゲゲゲの鬼太郎みるかっていったらそれも観ないんですよね。だいたい話が予想できるから。最後に下駄飛ばすんだろ、みたいな。でもこの映画はこれまでのゲゲゲの話ではないんだ〜どんな話なんだろうと思って興味持って観ました。そしたら泣いてました。
この映画は鬼太郎はほぼ出てこず、目玉のおやじと水木さんの寓話なんですけど、時代背景もあって、超大人向けとなっています。八つ墓村みたいな既視感あるのがちょっと気になりますけど、まあそこはご愛嬌です。この時代と現代はテクノロジー的には大きく異なりますが、主人公の水木の虚無感というか心を捨てて自分の利益を求める姿とかは、現代人の心にも通づるものがあるように思いました。だれも正義感なんて持ってない世の中なんだよな〜今も。人は富や地位を求めて簡単に狂っていくし、それを正しい道に戻すためには破滅が必要なんだと。
で、私が涙したのは、ハッピーエンドへの安堵の気持ちと、現代人は破滅に至る勇気さえないってことを感じたからですね。劇中では青臭いとも思える王道のカタルシスがあるわけですけど、現実の世には水木もいなければ妖怪もいないんです。なんとかしてくれよ〜って思う自分も他力本願ですしね。ただ、こういう映画があるってことはわずかな救いなのかもしれないです。
ちょい甘ですけど星5つつけときます。