猫が星見た

映画の感想

沖田総司/大内美予子著

アマゾンで評価が高かったので読んでみた。書評で書かれていた、涙を堪えきれないというのを体感したかったのだが、そういった叙情さはあまり過度でないどちらかといえば硬質な文体で、出来るだけ史実に基づこうとした節度ある誠実な本。涙はちっとも出なかったけどいい本だと思う。
しかし沖田総司はどうして誰が書いても清々しい人物というか、憧れる人物というか、天真爛漫でありながら能天気じゃない、子供でも大人でもない、切ないような、なんともいえない言葉にできない天上の人になるのだろうか。早世した天才剣士。まあこれだけの要素で大抵の人は射抜かれてしまって、それは作家も同じなのかな。魅力がありすぎるのだな。新選組を描いた本で沖田総司は大抵同じように魅力的な人物に書かれていて、どの本を読んでも分かってることばっかりなんだけどそれでも楽しく読んでしまうのだなあ。
とある隊士を処分することになり彼に同情するのだが、すぐに心を虚しくすることだ、と思う沖田の描写は何度も読んでしまうところ。なんというか私の中のもやもやっとした沖田像をはっきりさせてくれた彼の性格描写だった。

沖田総司

沖田総司