猫が星見た

映画の感想

羅生門

芥川龍之介の短編「藪の中」をもとに映像化。都にほど近い山中で、貴族の女性と供回りの侍が山賊に襲われた。そして侍は死亡、事件は検非違使によって吟味される事になった。だが山賊と貴族の女性の言い分は真っ向から対立する。検非違使霊媒師の口寄せによって侍の霊を呼び出し証言を得るが、その言葉もまた、二人の言い分とは異なっていた……。ヴェネチア国際映画祭でグランプリを受賞した、黒澤明出世作

私は『酔いどれ天使』しか黒澤監督作品を観ていないのだが、なんというか、黒澤作品に対してふーんという感想しか持つことが出来ない。この所謂名作に対しても。
撮影は凝っているのだが、この角度から撮ろう!今度はこの角度からだっ!どうだどうだ!迫力があるだろうっ!、みたいなわざとらしさを感じて非常に鼻につく。特に三船敏郎森雅之をゼイゼイいいながらゆっくり追い詰めていく所なんて狙いすぎてて白ける。
そんで人間描写は浅い。羅生門の下で志村喬千秋実が「ひどい話だ」だの「ひどい世の中だ」だのウジウジ言っているんだが、そうかあ?と思ってしまう。そこまで悲観する程に感じなかった。ジェネレーションギャップなんでしょうか。人は嘘をつく、騙しあう、そんなの当たり前じゃないでしょうかね。というか演出的に人間って恐ろしいんだよ、的な感じは全くなかった。意外と明るい映画な気がしたもんで。
大半の人が名作名作、巨匠巨匠っていうけど、私は分からん。人間の内面を描いてこそ名作じゃないのかな?
(2008年5月8日・BS2で)

羅生門 デラックス版 [DVD]

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