猫が星見た

映画の感想

殺しの烙印

もはや理解不能なストーリー展開とひたすら懲りまくったスタイリッシュな映像でまさに清順美学が炸裂したカルト・ムービーの傑作。日活解雇の直接の原因になった作品としても知られる。2001年公開の「ピストルオペラ」は本作が基になっている。飯の炊けた匂いが好きな殺し屋ナンバー3、花田は殺しの依頼を遂行し損ねて逆に組織から追われるハメになるのだったが……。脚本の“具流八郎”は清順監督や大和屋竺ら8人のスタッフによる共同ペンネーム。

鈴木清順が「わけのわからん映画をつくるやつはいらん」と日活を追い出される原因となった映画。
しかし、解説(allcinemaより転載)に書いてあるほど理解不能というわけでもカルトというわけでもない気はした。ヘンな映画みすぎなのかな、私は。
ツィゴイネルワイゼン」とか「陽炎座」なんかに比べたらよっぽどエンターテイメントで分かりやすく楽しい。まあ60年代でコレは到底むちゃやろ……ではあるが。
しかしまあなんともデタラメなガンアクション、どこ撃ってんの?なんでそーなんの?のオンパレードで、普通なら腹立たしいが、この映画に関しては許せる。ハードボイルドなんだけどどこかアホくささが漂っていて香港映画好きの私にはたまらない。お洒落系というよりは、安っぽ系。最高である。
マンガっぽくなったり歌が入ったり、ルパン三世のファーストシーズンを思い出す雰囲気。“コメの炊ける匂いが好き”な殺し屋だとかいうアホ設定も光っている。
ただ宍戸錠のほっぺたのアホらしさはあまり微笑ましくないので、星は4つにしておく。
(2008年5月28日・WOWOWで)

殺しの烙印 [DVD]

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