猫が星見た

映画の感想

彗星に乗って(ON THE COMET)

実写とアニメーションの合成で独特の作品世界を構築するK・ゼマンが、ヴェルヌの冒険小説に材をとっておくるファンタジー。アフリカのある町に駐留するフランス軍がスペイン人や現地の権力者と小競り合いを繰り返している1888年、彗星が地球に大接近、天変地異が起こり、町がまるごと彗星の上に飛ばされてしまう。そこは恐竜や翼手竜が跋扈する世界だった。フランス軍の青年士官は、スペイン人の手から逃れてきた美女を守って活躍する。爆発で砕け飛んだ宮殿が彗星の上に重なり落ちて元通りになったり、鼓笛隊が宙を舞いながらも演奏を続けているなど、コミカルな描写が多く、科学考証やリアリティなどという言葉とは程遠い作品。色フィルター、人形アニメ、コラージュなどの手法は一見安っぽいが、逆に、メリエスに代表される映画創成期のトリック撮影の楽しさが味わえる。

好きです、カレル・ゼマン
昔、絵本で切り絵みたいなの、クリスマスまでのカウントダウンで一日一日指定の場所をを千切ると別の絵が出てくる(窓の部分を切り抜いたら人が出てくるとか)というものを持っていて、千切った後は次の日が待ち遠しい、そんで何度も千切った部分を確かめたり、とにかくワクワクしていたことがありますが、それに近いものがある。切り貼りの映画。
安っぽさ最高。奇想天外最高。切り貼り映画だからどんなことが起ころうが難なく受け入れられる。
そんでちょっとした箱庭を見ているように、おもろい人間模様を眺めている自分に気付く。
そして人間が可愛らしい。
何がいいたいかよく分からなくなってきたけど、とにかくカレル・ゼマンは素晴らしい。
(2008年10月21日・DVDで)

幻想の魔術師カレル・ゼマン 彗星に乗って [DVD]

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