猫が星見た

映画の感想

歩いても歩いても

 夏の終わりの季節。高台に建つ横山家。開業医だった恭平はすでに引退して妻・とし子とこの家で2人暮らし。その日、久々に子どもたちがそれぞれの家族を連れて帰郷した。その日は、15年前に亡くなった長男の命日だったのだ。次男の良多は、もともと父とそりが合わなかった上、子連れのゆかりと再婚して日が浅かったこともあって渋々の帰郷。両親がいまだそれぞれに長男の死を受け止めきれずにいることが、良多の心をますます重くする。いつも陽気でソツのない長女のちなみは、そんな家族のあいだを取り持ち、家の中に軽い空気を持ち込むが…。

ディテールを楽しむ映画だと思いました。食べたり話したり風景みたりで、ストーリーをみるというよりは雰囲気を楽しむ映画だと思います。
正直いってそれくらいしか感想出てきません。

ほんとうに、すごく失礼ですけど、是枝監督って何がすごいんですか?

歩いても歩いても [DVD]

歩いても歩いても [DVD]

海よりもまだ深く

自称作家の中年男、篠田良多。15年前に新人賞を受賞したものの、その後は鳴かず飛ばず。ギャンブル好きで、今は“小説のための取材”と称して探偵事務所で働く日々。当然のように妻の響子には愛想を尽かされ、一人息子の真悟を連れて家を出て行かれてしまった。その真悟との月に1度の面会が何よりの楽しみでありながら、肝心の養育費はまともに払えず、おまけに響子にも未練タラタラで、彼女に恋人ができたと知り、本気で落ち込んでしまう始末。そんな甲斐性なしの良多にとって頼みの綱といえるのが母の淑子。夫に先立たれ、団地で気楽なひとり暮らしをしている彼女の懐を秘かに当てにしていた。そんなある日、真悟との面会の日を淑子の家で過ごす良多。やがて真悟を迎えに響子もやって来るが、折からの台風で3人とも足止めを食らう。こうして図らずも一つ屋根の下で、一晩を過ごすハメになる“元家族”だったが…。

最初にいっときますと、是枝監督作品とは相性が悪いです。
でも阿部ちゃんが好きなのとタイムリーなのでみました。

セリフがところどころ聞き取りにくいなあと思いましたが、その他はまあ「よくできてるんだろうなあ」。
でもいい作品を観たとき必ず起こる、内から湧き上がる高揚みたいなものは全くないです。通向けなんですかね、映画ファンじゃなくて映画通にはわかる良さがあるのかもしれません。
ラスト急に阿部ちゃんがまともなやつになるところが微妙でした。
「なりたい大人になれるわけじゃないんだ」はいいセリフだと思いますけど、そういうキーゼリフに実を感じられないのが是枝作品の特徴で欠点だと思います。

小川町セレナーデ

閉店に追い込まれた母のスナックをニセのオカマ・バーとして再建しようとする娘の奮闘を、実の父とは知らずに指導を受けるオカマ・ダンサーとの交流とともに綴るコメディ・ドラマ。出演は須藤理彩藤本泉安田顕。監督は本作が劇場映画デビューの原桂之介。寂れたスナック“小夜子”を営むシングルマザーの真奈美。ある日、高校卒業とともに東京に出て行った一人娘の小夜子が帰ってくる。小夜子は、母のスナックが閉店の危機と知り、隣町で大流行のオカマ・バーをまねることを思いつく。そしてホステスの亮子と2人で“偽オカマダンサー”になるべく、真奈美の旧友であるオカマのエンジェルに協力を仰ぐのだったが…。

平凡以下の駄作かな〜。ジェンダーものということで、定番の感動モノ、説教モノかなと予想していましたが、そのレベルにも至っていませんでした。女装してダンスするシーンがしつこくて、監督はこれだけを撮りたかったんだと思いました。
いったいどこが映画なんだよ。

小川町セレナーデ [DVD]

小川町セレナーデ [DVD]

青い鳥

新学期、東ヶ丘中学2年1組には休職した担任に代わり、臨時教師の村内先生が着任した。前の学期、男子生徒の野口がいじめが原因で自殺未遂へと追い込まれ、転校を余儀なくされていた。マスコミにも騒がれ、学校側は生徒指導の強化などにより、生徒たちの反省と改心が進んだとして事態の沈静化を図っていた。そんなクラスにやって来た村内先生は、極度の吃音だったが、着任早々言葉少なに発せられたひと言は“忘れるなんて、ひきょうだな”という意外なもの。そして、日直に命じて転校した野口の机を教室に戻させ、その机に向かって“野口君、おはよう”と語りかけるのだった。だれもが野口のことを忘れようとする中、村内先生の挑発的ともとれる行動は、生徒ばかりか教師や保護者たちにも大きな波紋を投げかける。

久々に悲しくも感動してもないのに無意識に泣けた。
阿部ちゃん(好きだけど)のわざとらしい演技はちょっと嫌だが、本郷奏多の繊細な演技が光る。セリフが少ないながらも、役者の表情で観客に訴えかけてくる稀な映画。
子供の世界は狭くてすぐに破綻してしまうから教育が大事なんだけど、教育者の世界も狭いからなかなかうまくいかないこの世の中。教育の現場って周囲が思っている以上に腐っているんじゃないかな。阿部ちゃんは言わずもがな、伊藤歩のような先生ですらもういないのかもしれない。
真剣に言葉を聞いてくれる人、聞こうとする人がいれば、子供でも大人でも孤独に耐えられるのかもしれない。そんな簡単なことをただ教えてくれる、題材はいじめだけど、その奥にある何かを感じられた映画だったと思う。
ちょっと思わせぶりのやりすぎのカットがあったので、★-0.5

青い鳥 [DVD]

青い鳥 [DVD]

RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語

一流企業のエリートサラリーマン筒井肇は、50歳を目前に取締役への昇進を告げられる。その一方で、リストラのために親友の川平が工場長を務める工場の閉鎖を進める責任者を任されることに。さらに、家庭を顧みず仕事一筋だったばかりに、妻や娘との間に知らず知らずのうちに溝が深まっていた肇。そんなある日、故郷の島根で一人暮らしをしていた母・絹代が倒れたとの連絡が入る。追い打ちをかけるように、川平の交通事故死の報が届く。そんな時、幼い頃に必死で集めていた電車の切符の束を見つけた肇は、地元ローカル線“一畑電車”の運転士になるという子ども時代の夢を思い出すのだが…。

予想通りの展開しかない映画。
ひねくれ者の私はなんだかな〜と思いつつも、まあ普通に観れてしまうクオリティーである。
しかしあれだけ簡単に沢山の従業員をリストラできてしまう人が、ちょっと自分の生き方に疑問もってすぐ自分の夢追いかけて成功してしまうなんて、世の中は不公平だな、とやっぱりひねくれた私は思ってしまう。弱者を切り捨てたエリートサラリーマンが、乗客を親切に助けたりしている姿をみると、うーむとなってしまうのだった。
そのあたりの繊細な部分は全然考えられていない映画だった。

手紙

 川崎のリサイクル工場で働く青年、武島直貴。積極的に話しかけてくる食堂の配膳係・由美子とも打ち解けることなく、人目を避けて生きる彼にはある秘密があった。兄・剛志は、弟を大学に行かせるため学費欲しさに盗みに入った邸宅で、誤って人を殺してしまったのだ。無期懲役で服役している剛志からは毎月手紙が届いていた。しかし、それが元でリサイクル工場でも兄のことが明るみとなると、直貴は工場を後にする。やがて、大好きなお笑いでプロになる夢を抱き、徐々に頭角を現していく直貴だったが…。

カタルシスがすごい。ラストで流れる問答無用の涙に星4つ。
ストーリーは無難で特筆するものはない、けどつくりは丁寧で好感が持てる。
山田孝之の漫才はなかなかだし、エリカ様は強くてかわいい(でも関西弁が変すぎる)し、玉鉄は彫刻のように美しかった。
吹越満とのシーンでの免罪と、ラストシーンのつながりが素晴らしく、肝心なところできっちりやってくれる誠実な作品だと思った。
泣かせ映画と侮るなかれ、なかなかです。


手紙

手紙

箱入り息子の恋

市役所に勤める35歳の独身男性、天雫健太郎。人付き合いが苦手で、友だちも恋人もはなから諦め、自宅と職場を行き来するだけの退屈な人生を送っていた。そんな健太郎を見かねた両親は、親同士が子どもたちの相手を見つけ合う“代理見合い”に参加する。そこで裕福な今井夫妻と知り合い、その一人娘・奈穂子と正式にお見合いするチャンスを得る。実は奈穂子は、病気のために今ではまったく目が見えなくなっていた。そんな奈穂子と思いがけず生まれて初めての恋に落ちてしまった健太郎。ところが奈穂子の父は、役所勤めの健太郎ごときに大事な娘をあげる気などサラサラなく…。

ほのぼの軽く観れます。
ただ、35歳の人付き合いが苦手で友達も恋人もいない男性が、はじめて会う見合い相手の父親にあんなに強く意見を言えるわけがないと思うんですが・・・それが恋の力ということでしょうか。
ほほえましくて応援したくなる感じはあると思います。

箱入り息子の恋

箱入り息子の恋