猫が星見た

映画の感想

スワンソング(Swan Song)

かつてヘアメイクドレッサーとして活躍したパットは今は老人ホーム暮らし。ある日弁護士が彼の元を訪れ、かつての顧客リタの死化粧を依頼をされるが・・・

すんごい鬱な映画でした。独身中年が観ると3/4以上が鬱になる映画だと思います(多分)。

成功しようがしまいが長生きしたくないな、と心底思いました。そして身体が動くまでなんでもいいからずっと働いていようと思いました。家族がなく社会との繋がりがないことがこんなに孤独で憐れまれるのか、残酷なまでに理解できる映画です。

主人公パットの最後の旅は全然晴れやかなものではなく、死に向かって今まで目を背けてきたものに向き合ってその苦しみとともに死んでいくような演出だったので、なんとなくよくある軽妙なロードムービーを装いながら、実はすごく陰気な雰囲気をまとっていて、私には重い映画でした。年々シリアスな話を直視できないな〜と思いつつ、あー自分が死ぬ時は何を思うんだろうとふと思ったら、食欲なくなりました。それくらい主人公のウド・キアは演技うまいです。でも監督には中年を明るい気持ちにさせる映画撮ってほしいです、正直。