猫が星見た

映画の感想

アイ・アム・レジェンド(I AM LEGEND)

まっすぐ家に帰る気分ではなかったので時間に合ってりゃなんでもいいや〜と思って選んだのがこれ。最近映画館で観る映画が大作ばかりで私はどうかしています。
タイトルが「アイ・アム・レジェンド」て。なんともアメリカ人っぽいオレ様風味をかもし出しているこのタイトルのせいでハナから馬鹿にしていたのですが、すみません謝ります、結構楽しめました。つっこめるという部分でもまあそうなんですが、それ以上に普通にエンターテイメントとして飽きずに、お尻も痛く感じず、時計も見ずに一気に観れました。
ウィル・スミスが銃を担いでいる予告編から勝手に「インデペンデンス・デイ」みたいなものを想像していたんですが、予想に反して「バタリアン」でした。そこが私の琴線に触れたのでしょうか。以下ネタバレ







前半部分は緊迫感があってびっくりするほど面白いです。世界がどうなったか、人間がどうなったかという詳しい説明が全くないまま、暗いビルの中で元・人間と遭遇する所はさすがに「ひょえ〜!」となりました。しかも何人か集まって輪になってぶるぶる揺れている。よく見えないんだけど人間だとは分かる。この演出をした監督は性格悪いです。怖いです。サムが鹿を追いかけて暗いビルの中に入ってウィルが「入るなー!」みたいなことを叫び出してからああなんかヤバイで〜怖いこと起こるで〜いやや〜と思うけど目を逸らせない。怖いものほど観たい。「入るなー!」からサムが死ぬ所までジェットコースターに乗ってるような、お化け屋敷の暗闇で手探りで先に進もうとしているような、そんな感覚でなかなかビビらせてくれました。心の中で「サム逃げろ!」とか「ウィル、なにドジこいてんねん!」とかスクリーンの中の1人と1匹を激しく応援していたので、私的には凄い映画だと思いますよ、前半はね。
しかし後半は結構酷いです。生き残り2人がいきなり現れる所も拍子抜けというか、この生き残り2人があまりに綺麗すぎる。この事態に軍人であるウィルですら恐怖で怯えて苦悩しているのに、観客だって元・人間のおぞましさに震えてるのに、この2人はそうでもない。ラジオを聴いたから来たとか身軽すぎるし、しかも夜あんな場所でよく待ってられるよな〜それ以前にあの光はなんだったんだ?ずっとあれ使おうよ、みたいな疑問が非常に残ります。
あと私が一番なんだかな〜と思ったのは、元・人間が意外と集団性があるってところです。ウィルたちの跡をつけたり、ボスがいたり、銃をうまく避けたり、なんつーかやや人格が見えるんですよね。私なんかは、狂ってるものは凄く怖いんだけど、仲間意識があるというか協調性のあるものはそれほど怖くない。一番冷めたのは、ウィルの家の前でボスが「お前ら、行け!!」みたいな感じでカメラ目線よろしく吠えるところですな。結局バトルものかよ!と思ってがっかりしました。こういう映画って本当にゲームみたいになりやすいんですね。

笑えたのは、家の前にあんなすげえものを用意していたってこと。あんだけの爆発でよく家が残ったなあと思いました。それでも死に絶えない元・人間なのですが、最後のあの程度の自爆では皆綺麗に死んだんですね。あの2人が生き残ってるってことですから。「不思議だな〜」とそのことを連れに話すと、「きっとあの2人が暖炉(釜?焼却炉?)に隠れる所を見た元・人間は全部死んだってことじゃない?」と返され納得です。

前半部分に星3つ半。
(梅田TOHOシネマズで・2007年12月18日)