猫が星見た

映画の感想

扉をたたく人(THE VISITOR)

コネティカット州の大学で教鞭を執る62歳の経済学教授ウォルター。愛する妻がこの世を去ってから心を閉ざしたまま孤独に生きてきた彼はある日、学会出席のためニューヨークへ赴く。そして別宅のアパートを訪れると、そこには見ず知らずの若いカップル、シリア出身の移民青年タレクとセネガル出身の恋人ゼイナブが滞在していた。しかし、彼らはこの時はじめて詐欺に遭っていたと知り、グリーンカード(永住許可証)を持たないために警察沙汰などで国外追放になるのを恐れ、素直に去っていく。だが、あてのない2人を見過ごせなかったウォルターは、しばらくの間この部屋に泊めることに。そのやさしさに感激したジャンベ奏者のタレクからジャンベを教えられ、友情を育んでいくウォルター。ジャンベをたたく楽しさを知った彼は再び生きる喜びを見出し、閉じていた心の扉を開いていくのだが…。


この映画に対して期待しすぎていたのかもしれない。
というかこの映画は日本で必要以上に取り上げられていたから、もっとしつこいくらいの感動物だと思ったら意外と地味だったというギャップが大きくて、まあこの映画が面白くないということではない。

これって9・11を意識した映画ということでいいんでしょうかね。罪のない人を投獄してそれでも自分の身を守るためには致し方ない、というか積極的に他者を排除しようとしているアメリカを非難している映画ということでいいのでしょうかね。そういう問題提議メインの映画だとしたら、私個人はこの映画嫌いですね。アメリカの知識人が今のアメリカを非難する映画をつくる。他民族を擁護する。そんなのが一番偽善でうそ臭くて嫌です。映画のウケを考えたあざとい内容としか思えません。
ただ教授が言う“いつも「ふり」だけだ”というのは、身につまされる。私もいつも“ふり”だけで自然さを失っているなあと反省した。
本心から音楽を楽しんだり、真剣に怒ったり、誰かのために我を忘れるほど身を捧げる、もっといい方向に感情を開放していかなきゃいかんなと思った。
(2009年8月)