猫が星見た

映画の感想

アートのお値段(The Price of Everything)

オークション開催が迫ったNY。アートバブルの現代、アーティスト、ギャラリスト、評論家、コレクターそれぞれの思惑に迫ったドキュメンタリー。

現代アートに詳しい人はどうかわかりませんが、素人の私にとっては普通に面白いドキュメンタリーだなと思いました。素人なんで、アーティストの名前聞いても彼らのアート界での立ち位置がそれほどピンときませんでしたけど、まあそれを差し置いて、「なんとなく」の面白さがありました。

純粋に金は汚いとかアートは投資VSアートはそれを超越したもの、みたいな内容ではなかったのでよかったです。適当に塗りたくった作品にとんでもない値段がつけられることもありますが、出てきた作品はそれなりにすごそうなのは画面からも伝わりましたし(でも家が何軒も買えるような値段なのは笑)、それぞれの立場から語られることも奥深いようなそうでもないような、で、面白く拝聴しました。

アートって誰の心を慰めるものなんでしょうかね。

 

 

アートのお値段(字幕版)

アートのお値段(字幕版)

  • ラリー・プーンズ
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コンテイジョン(Contagion)

香港から戻ったベスは風邪症状ののち痙攣を起こし死亡。その息子も同じ症状を起こす。謎の感染症は全世界で発症者が続出し、CDC(疾病予防管理センター)の調査が始まるが・・・

2011年の映画みたいですね。結構前の映画ですが、まさしくここ数年のことと似たことのように思います。ただ現実はまともになるまで3年もかかりましたけどね。

あと劇中では原因は動物からの感染なんですけど、現実はそんなことではなかったですよね。映画はどう頑張ってもファンタジー、現実の方がよっぽどひどいというか容赦ない残酷さがあることが分かりました。

人の不幸で儲ける奴がいる、保身だけの偽善者もいる、職務に邁進する人もいる。

純粋に正義感が強かったケイト・ウィンスレットのラストシーンの献身さとケイトを助けることができなかった上司であるチーヴァー博士の偽善、本当に胸糞悪かったです。監督的にはそんなつもりはなくても、私的には陰謀論を信じるがために人々を騙して混乱を招き荒稼ぎするジュード・ロウよりよっぽど胸糞でした。

105分で端的にまとまっていてまあ良くできている話と思いましたけど、コロナ後に観てしまうとう〜んという気持ちですね。アメリカの製薬会社、たっぷり儲けたんだろうなあ。

 

求婚

イダは物心ついた頃から修道院暮らし。自由のない暮らしに嫌気がさしている。そんなある日、教え子が隠し持っていたラブレターを自分のものだと庇い、見事修道院追放となったイダは実家に帰るが・・・

Amazon Primeで観ることができる謎のハンガリー映画笑。

最初から最後まで予想通りなんですけど、ラブロマンスとして心地よく、かわいい話だな〜と楽しめました。家具やインテリアの色味が綺麗だし、衣装も可愛いし、髪型も可愛いし、話が間延びせずに短くすっきり終わる。疲れない映画です。

最近Amazon Primeでは謎のカナダのラブコメみたいなのがよくアップロードされていて、こんなマイナーなの観れるんだ〜と思っていたら、今回はハンガリーの映画でした。日本未公開かもしれないですけど、「求婚」という謎のそっけないタイトルも併せ、掘り出し物感あって楽しいです。

 

求婚

求婚

  • lia Mentes
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霊幻道士(殭屍先生)

導師カオは街の富豪ヤンから父親の改葬を依頼される。墓を掘り起こしてみると、遺体は全く腐敗しておらず、半ばキョンシー化しているため、カオは自宅へ引き取り、処置を施そうとするが・・・

子供の時に観て楽しくて、おばさんになった今観て楽しい。

懐古主義といわれてしまうと思いますけど、映画は画質の良さじゃないんですよ、創り手のイマジネーションが肝なんですよね。アクションシーンの工夫とか、キョンシーの動きとか本当に楽しいですもん。小道具とか細部も凝ってますし。

あと師匠と弟子の関係とか弟子同士の人間らしい触れ合いとか、さっぱりしていてすごく活きてるんですよね。この時代のよさも感じられるし、コミカルホラーという特殊なジャンルを確立していてシンプルにすごく楽しいですよ、この映画。

唐突に終わって「劇終」なのもさすがの香港映画。

 

霊幻道士(字幕版)

霊幻道士(字幕版)

  • ラム・チェンイン
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コールド・ウォー 香港警察 二つの正義(寒戦 Cold War)

モンコックで爆発事件が起きたその時、警察官5名が警察車両と共に行方不明となった。事件解決のため、現場タカ派のリー副長官が臨時長官となり捜査を開始するが、その強引な捜査手法に疑問を持った事務上がりのラウ副長官が裏で調査を開始する・・・

 

お、っもしろくないです!

これだけ豪華なキャスティングで、これ以上ないしょうもない結末、そして続編ありなのが前提という謎の構成。

途中までは面白くなりそうだったのに、犯人が二転三転したり仲間が死んだりするところからびっくりするくらい大味になって犯人が誰でももういいよ、という気持ちになっていました。うーん、くだらない。2作目をみるといいことあるのかな?でも1作目でそれなりに完結してないとそれは映画としておかしいよね。あんなモブばっかりが裏切ったって、観てる方は何も楽しくないし、あんた誰?って感じなんですけど。

しかもアーロン・クォックの演技がね、主役にしてはイマイチな気がするし、アンディ・ラウがあんなちょっとだけ出てきてニヤニヤ変な演技していたのも気になるし、レオン・カーフェイが仙人みたいなヒゲなのも気になるし、演技的に一番信頼できるラム・カートンはしょうもない無駄死にしたし、久々にみたテレンス・イン、キーマンかと思ったら最初しか出てないやんけー!って文句というか、こんなに豪華なのになんで!?誰ひとり輝いてないで!?という残念な気持ちしかありません。

香港の俳優が90年代からあまり老けてないことには驚愕しましたけど。プロ意識高いんでしょうけど、それだったらストーリーをなんとかしろよ!

 

 

 

奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ(Les heritiers)

パリ郊外の貧困地区にあるハイスクール。様々なバックグラウンドを持つ子供たちが通っている。新任の歴史教諭ゲゲンが担当する落ちこぼれクラスはいつも問題ばかり起こしているが、それを見かねたゲゲンは彼らにコンクールに出るよう勧める。テーマはアウシュビッツについてだというが・・・

フランス映画っぽい淡々とした導入部分は好みだったんですが、最後の方はよくある感動物でかなり予定調和でした。といっても実話を基にしているからその通りなのかもしれませんけど。

私のような学校嫌いの人間だと、全体的に綺麗すぎてうぉーっと叫びたくなりました。邦題がいまひとつ物語の本質を捉えきれていない感じで大げさなのも気になりました。

一番よかったのは音楽ですね。久々にこの曲なんだろうと調べたくなりました。

 

 

 

オーレリ・デュポン 輝ける一瞬に(Aurelie Dupont danse l'espace d'un instant)

パリ・オペラ座バレエ団の元エトワール、オーレリ・デュポンのインタビューや稽古風景などをおさめたドキュメンタリー

何度か舞台を観に行ったことがあります。

気品がある踊りですが正直あまり個性を感じなくて好きでも嫌いでもないバレリーナでしたが、日常の彼女の姿を見て、意外とマイナス思考だったり愚痴っぽかったりして、親近感がわきました。

しかし超一流はストイックでどの角度からでも美しかったです。眼福ですね。